ミックス・コーヒー
 ホント失礼だよ!!と、叫びたい衝動をなんとか抑えつつ、貴之はこっそりと拳を握り締めた。


 ミクリは、マネージャーの吉本に、美葉の話をしていたらしい。
 そして、尚樹のことも。

 おそらく彼女達二人は、信頼関係で結ばれていたのだろう。


「……君達、すまないが私はこれで失礼するよ。また、来るね」

 河内は、突然そう言うと、しっかりと貴之達に礼をし、病室を後にした。



「……ミクリの状態は先程、看護師さんから聞きました」

 吉本はそう話すと、堪え切れなくなったように嗚咽を上げ出した。
 時折、よかった、と小さな声が漏れる。

 そんな吉本の様子を見て、貴之の目頭が熱くなる。
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