ミックス・コーヒー
 低い、男の声。

 シゲの声ではない。沢下の声でもない。
 無論、貴之や尚樹のものとも違う。

 いつの間にいたのだろう。
 貴之は、沢下の話に神経を集中させていたため気づかなかったようだ。


 そこには、スーツ姿の少々恰幅の良い男が立っていた。
 先程の声はこの男のものだろう。


「渡辺さん。君が現場に着いた時、誰か人はいましたか?」

「いいえ」
 尚樹が、訝しげに答える。

「人影も?」

「はい」

「つまり、それは……君が犯人だということですか?」


「瀬戸!! おまえ、一体何を言うんだ!!」
 シゲが声を荒げる。
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