ミックス・コーヒー
 沈黙が続く。
 各々、自分の考えを巡らせているのだろう。

「ところで、あんたは?」
 シゲが、ふと吉本の方を見る。

「あ、ご挨拶が遅れました。私は、筏美栗のマネージャーです」
 吉本が会釈する。

「あ、わざわざどうも」と、シゲも頭を下げる。
 沢下もそれに続いたが、瀬戸は少し離れた所に腰をかけたまま動こうとしなかった。

「マネージャーさん、ということは、ミクリさんと一緒にいる時間も多かったんですよね。何か、最近気になったこととかはありませんでしたか」
 警察らしく、沢下が手際よく尋ねる。

「この方達にも話していたところだったのですが、ミクリは古亭路美鈴さんの死について、ずっと調べていました」

「古亭路美鈴さん……って、あの<伝説の女芸人>ですね。確か、ミクリさんと美葉さんの実のお母さん、でしたね」
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