ミックス・コーヒー
「さあ、私を逮捕しますか? 刑事さん」

「まだだ。川村」
 シゲは目の前の男を凝視している。

「……モデルの筏美栗が、一昨日の夜に自宅のマンションの前で刺された」

 ほう、と川村が興味深い、とでも言うように目を見開いた。

「今話題のイカちゃん、ですか。それは大変ですね。まだ、マスコミには漏らしていないようですね……初耳です」

「ふざけるな!!」

 シゲの声と、彼がテーブルを叩く音に、貴之は店が揺れた気がした。

「まさか、その事件も私が起こしたと……?」

「そのとおりだ。証拠もある……全く、お前の花好きには呆れ返るな」

「なんですって?」

 川村が、明らかに不機嫌そうな表情を作る。
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