ミックス・コーヒー
「凶器からな……花粉が検出されたんだよ。ユリのな」

 川村の高らかな笑いが店に響いた。

「何を言い出すかと思えば、くだらない。シュベルティーとは違ってイランカなど、それこそどこにでも咲いているじゃないですか。全く証拠にはなりませんよ」

「……どうした、川村? お前らしくもないな」
 シゲの低い声に、川村が訝しがる。



「俺は<ユリ>と言っただけだぞ? なぜ<イランカ>という種類まで知っているんだ」



 店内に、緊張の糸が張り詰めた。
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