ミックス・コーヒー
   ③

 とても長い時間、静まり返っていたような気がした。
 貴之の額から、汗が一滴垂れてきた。


「……まさかここまで、愛していた花達に裏切られてしまうとはねぇ……」
 川村が椅子の背もたれに体重を預ける。


「認めるんだな?」

 シゲの問いに、川村は鼻で返事をする。

「フッ。本当に、私の仕事の邪魔をする奴らばかりで……困ったもんですよ」

「ミクリが、一体何をしたって言うんですか!」
 思わず貴之が声を上げていた。

「あのお嬢さんは、探偵気取りで、私の事務所に上がりこんできました。まあ、そこまでは微笑ましかったんですがね。ただ、少し調子に乗りすぎてしまいましたね……。だから、彼女の存在を消させてもらいました」
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