ミックス・コーヒー
 電話で川村が誰かと<探し物>の話をしていたということを考えると、その話し相手が依頼者なのかもしれないが……。

 そして、その探し物は見つかったのだろうか。
 もし、まだ見つかっていないのなら、燃えてしまった古亭路家からそれを探し出すことはもう不可能だろう。

 貴之はいつの間にか、一人で考え込んでしまっていた。



「……ミクリのばかやろう」

 突然、美葉の方から聞こえてきた言葉に、貴之とミクリは耳を疑った。

 美葉は鋭い目つきで、ミクリをじっと見ている。
 先程の発言は彼女の物で間違いないようだ。

「美葉?」
 驚いた顔で、ミクリが美葉を見つめる。
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