ミックス・コーヒー
「私、今すんごい怒ってる」

「うん、なんかわかる」
 ミクリが頷く。

「なんで一人でそんな危ないことするの。私にも尚樹にも言わないで」

 貴之が、心の中で「おいおい、オレは?」とつっこんだ。

「ごめん。尚くんにはやっぱり迷惑かけたくなかったし、美葉には……心配かけたくなかった」


「……私達、同じなんだよ」

 美葉の言葉に、ミクリが瞳を大きくさせる。



「ミクリが痛いと、私も痛いんだよ」



 ミクリの瞳から涙が溢れる。

 その涙が一筋伝って、枕に滲んだ。
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