ミックス・コーヒー
 ミクリは、しばらく入院が必要だろう。

 尚樹は、もしかしたら逮捕されてしまうかもしれない。
 もちろん、絶対にそうならないと信じてはいるが。


 とにかく今、美葉のそばにいてやれるのは自分しかいないと、貴之は強く感じていた。

 いつの間にか、美葉の手を握る貴之の手にも力が入ってしまっていた。



 不意に、この沈黙の中で、玄関からチャイムの音が鳴り響いた。

「誰だよ。こんな夜に」

 貴之が立ち上がり、玄関へと向かった。

 その後ろを美葉もついて行く。

 ドアを開けると、そこには見慣れた顔があった。

「すみません、夜分遅く」

 沢下だった。
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