ミックス・コーヒー
 貴之の頭は、すぐにそれを整理出来ずにいたが、自分自身、確認するように、少しずつ言葉をつなげていった。


「オレの親父、優哉、って名前……この電話番号、オレの……店」


 美葉と沢下の視線が、貴之に集まる。

「……この茂って、シゲさんか?」


「美葉さん、その手帳にアドレス帳はありませんか?」
 沢下が、少し声を大きくする。

 美葉の行動も素早く、手帳を後ろのページから捲り直す。

「あった。……伊藤優哉、と、船崎茂」



 確定だ。



 美葉の父・誠と、貴之の父・優哉、そして船崎茂の三人は知り合いだったのだ。
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