ミックス・コーヒー
「この場所がわかった、ということは、全てに辿り着いてしまったんだな」

 シゲは貴之をまっすぐ見つめている。

「全てかどうかはわかんないけど、だいたいは理解できたつもりだよ」

 貴之がそう言うと、シゲの隣のもう一つの影が口を開いた。



「……美葉ちゃん。君達! 助けてくれ!! この男は……わ、私を殺そうとしているんだ!!」



 その声の持ち主は、河内心蔵だった。


 カラン、と何かが音を立てて落ちた。
 沢下がそれを素早く拾う。

 ナイフを失ったシゲには、先程以上に<殺気>というものが全くない。

 緊張の糸が途切れたらしい河内が、腰を抜かして乾いた地面に座り込んだ。
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