ミックス・コーヒー
 シゲが、河内を鋭く睨む。

 河内は「ひっ」と声を漏らし、腰が抜けたままの状態で後ずさる。

「君……警察なんだろ!? は、早くこの男を捕まえてくれ! こいつは、殺人犯なんだ!!」

 声を裏返りさせながら、脅えた表情で河内が沢下に向かって叫ぶ。



「……河内さん、この人はもう、ナイフを持っていませんよ」

 沢下が冷ややかにそう言うと、河内の表情が変わった。

「だ、だからなんだっていうんだ! 早く捕まえろ!!」

「あなたには、この人を恐れる必要はない」
 
 沢下が厳しい表情で、一旦、言葉を呑む。 



「この人が、あなたの言う<殺人犯>なら、あなたもそれと同じじゃないですか」
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