ミックス・コーヒー
   ③

「……なんだ? 君は、一体何を言っているんだ」

 河内が立ち上がる。
 そして、沢下に詰め寄った。

「だから、一体何を言ってるんだと言ってるだろ!! 今のは名誉毀損だぞ!」

 鬼のような形相、とはこのような表情のことをいうのだろう。
 河内のこんな表情を貴之は初めて見たのだが、なぜか初めてという気はしなかった。



「あなたも、三人もの人を殺す罪を犯したと言ってるんです!」

 沢下が声を張り上げる。

 それに驚いたのか、河内は一瞬黙り込んだ。
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