ミックス・コーヒー
「先程の状況を見て、シゲさんがあなたを殺そうとしていたのは明らかでしたが、あなたも同時にシゲさんを殺そうとしていたんです」

「……茶番だ、これは」

「さっきの話を聞いていたでしょう。僕達は、全てに辿り着いたんです」

「沢下」
 シゲが沢下を見つめる。

「何から話しましょうか。伊藤さん」
 沢下の視線が貴之に移る。

 貴之は後ろにいる美葉の方を振り返る。
 そして、ゆっくり、再び前を向いた。

「河内さん。美葉の家……古亭路家が全焼して、古亭路誠さんが亡くなったのはご存知ですね」

 河内は何も答えず、貴之を睨んでいる。

 それに構わず、貴之が続ける。
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