ミックス・コーヒー
「その直前に、川村という探偵が古亭路家を出入りしていました。
彼の目的は、誠さんからの依頼である<家出した娘・美葉の捜索>と、他の人物からの依頼である<宝探し>でした」

「宝、探し……」
 河内は、貴之の言葉を思わず繰り返して呟いてしまっていた。

「その川村という男が、私に何か関係でもあるのか? 大方、その男が殺して火をつけたんだろう」
 その言葉をかき消すためなのだろうか、一転し開き直ったように、河内が貴之に視線を下ろす。

「もうちょっと、オレの話を続けて聞いてください。川村という探偵は、大きな金のかかった依頼しかやらない。そして、その依頼なら完璧にやり遂げる男なんです。どんな汚い手を使ってでも。でも、その探し物だけはどうしても見つからなかった」
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