ミックス・コーヒー
 前日の夜まで、生放送でバラエティ番組に出演し、いつもどおりの伝説的なリアクション芸を繰り広げていた古亭路美鈴からは、死など、全く予想できなかった。

 そして翌日の夜、テレビ画面の上部に<女芸人・古亭路美鈴さん急死>と、テロップが入ったが、貴之はあまりに突然すぎてそれを信じることができなかった。

 その翌朝のワイドショーで大々的に古亭路美鈴の自殺のニュースを取り上げているのを見て、貴之はようやくそれが本当だったんだと理解し、そして号泣した。

 その日は学校どころではなかった。
 
 大ファンだった人の、突然の死。
 それも自殺。

 それは、貴之の心に今でも深い傷として残っている。



「……貴之に比べたら、私なんてひよっこだよ」

「ん、どういうこと?」
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