ミックス・コーヒー
「私、お父さんと、お母さんの子供、なの?」
 
 美葉が恐る恐る尋ねる。
 それに、貴之が彼女を抱きしめて答えた。


 バタン、という大きな音とともに、眩しすぎる光で貴之達は照らされた。
 
 ここで、サイレンの音が止まる。

 警察官が数名、一斉に車から降りてきた。
 


「……なんだよ。なーんにも、残ってねえじゃねーか……」



 河内は静かに呟いた。

 周りの、騒然とした中で、その声はかき消されてしまっていた。
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