ミックス・コーヒー
「オレ達、シゲさんの携帯に電話したんですよ。でも繋がらなかった。これだけだとなんでもないかもしれないけど、吉本さんが河内さんに電話しても繋がらなかったんです。二人が同じタイミングで電波の届かないところにいる、と思った瞬間……もう、この場所しか思いつかなかった」

 そうか、とシゲは貴之の話を飲み込むようにゆっくりと頷いた。



「人を殺した人間は、殺されて死ぬべきだ。いつしか、俺はそんなふうに考えるようになっていた。それぐらい、河内と川村を憎んでいた。だが……もしかしたら俺は、ここで、お前らが止めに来てくれることを待ってたのかもしれない」


 心なしか、シゲの表情が穏やかになった気がした。
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