ミックス・コーヒー
 シゲの赤黒い肌は、暗闇の中にほとんど埋もれてしまっていたが、うっすらと浮かぶ涙だけ、外灯と星の明かりがとらえていた。


「俺から、大切な人が次々と奪われていった……一人の男の手によって。
辛く、苦しい気持ちで毎日過ごしていたが、どうしてか寝る時に見る夢は、昔の楽しかった思い出ばかりでな。
目が覚めた時には、ついさっきまで一緒にバカやってたあいつらは誰もいなくて、バカな俺が、一人ぼっちだ」


 シゲの頬を、光の線が弧を描く。


「いつのまにか、俺も河内と同じ人間になっていた。孤独な、最低な人間に……」


「シゲさん! オレ……オレ達、待ってるから。ずっと、シゲさんが戻ってくるの待ってるから!」

 貴之が、嗚咽を洩らしながらも、必死で叫んだ。
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