ミックス・コーヒー
「何年かかっても、何十年かかってもいいから。ずっと、待ってるから……」

 最後の方は、自分の声がちゃんと言葉になっているかどうか、貴之にはわからなかった。

 シゲはそんな貴之をしばらく見つめた後、尚樹と、美葉に視線を順番にゆっくりと移した。



「こんな俺には、あまりにも勿体無い。……ありがとうな」



 ありきたりの言葉しか出てこない自分が本当に嫌だな……と呟く声が聞こえた。
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