ミックス・コーヒー
   ②

 あの事件から、一年後。
 スポーツ新聞の一面には、大きくこんな見出しが載っていた。


<イカちゃん結婚! できちゃったではないです(笑)>


「あーあ。載っちゃってるよ」
 
 貴之がリビングのソファに座り、スポーツ紙を広げながらコーヒーをすする。

「なにが?」

 美葉はテレビに夢中になっていたが(チャンネルはもちろん、相棒)、彼女の少しの優しさを垣間見せ、貴之の話に乗ってあげていた。

「結婚だよ」

「血痕?」

「オイィッ! オレにはわかったぞ、おまえの頭に表示された漢字が! まったくもう、せっかく事件が終わったっつーのに」
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