ミックス・コーヒー
 貴之が想像していた表情とは、まるで違う表情の美葉。

 穏やかな、眠っているような表情で、それに少しの間見惚れていた。

 そして、美葉がゆっくりと瞼を上げる。


「……美葉、気持ち悪くないの?」

「なんで?」
 
 貴之の問いに、美葉は首を傾げる。


「私にはわかるんだよ。貴之も、私が好きで、大切なんだよね」

 美葉が可愛らしく笑う。

 
 自分にだけ向けられている、この笑顔を、貴之は<宝物>にした。



「ああ。だって、好きどころか……愛してるからな」



 もう一度、今度はさっきよりも長い、キスをした。
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