ミックス・コーヒー
「そういや、今そこで沢下さんに会ったぞ」
 尚樹が、饅頭を頬張りながら言った。

「ああ。今、ちょっとだけ顔出しにに来てくれたんだ」

「なんか、すげーガッカリしてたみたいだったけど。貴之、いじめた?」

「なんでよ」

「あ。あたし、沢下さんの元気のない原因、わかっちゃったかも」
 ミクリが、ニヤニヤと笑っている。

 貴之はミクリから視線を逸らした。
 ちっ、と小さく舌打ちをする。

「ねー? 美葉っ」
 ミクリが、カウンター席の美葉の隣に腰をかけ、顔を覗き込んだ。

「……なにが?」
 美葉の頭の上には、ハッキリと<?マーク>が現れていた。
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