ミックス・コーヒー
 美葉は不思議な女性だと貴之は思った。

 表情をほとんど変えない。

 しかし、彼女の目には力がある。

 澄んだ瞳でまっすぐこちらを見つめてくる。

 まるで心の中を見透かされてしまいそうで、思わず貴之は緊張してしまう。

 彼女の瞳を初めて見た時から、ずっと感じていたことだった。

 貴之は、心のどこかで美葉のその目を怖い、と思っていた。

 一方、その澄んだ瞳の彼女に、興味を持ち始めている自分がいることにも徐々に気づいていた。


 とりあえず、今、新しい日々が始まろうとしている。

 貴之は、ほんの少しの期待と溢れんばかりの不安でなんともいえない気分になっていた。



 いつのまにか、雨は小降りになっており、窓の向こうには光が射していた。
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