ミックス・コーヒー
「……よくわかんないけど、まあいいや。貴之、コーヒー。喉詰まりする」

「おめーは早く働け! もうすぐ開店するぞ」
 尚樹に向かってバッサリと言い放つ、貴之。

 そこで、美葉がすっと右手を上げた。

「マスター。注文いいですか?」

「お、珍しいな、美葉が催促なんて。よっぽど喉詰まりしそうなのか」

 少しだけ嬉しそうに言う貴之に、美葉は元気良く答えた。



「ミックス・コーヒーを一丁」



 ミクリが笑い出す。
「なに、美葉! ミックス・コーヒーって。怪しいよ!」
 
 尚樹も笑っている。

 しかし、貴之だけは真剣な表情だ。
 
「……今のは、オレへの挑戦とみた。よし!」
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