ミックス・コーヒー
 貴之が言ったとおり、ちゃんとした制服とはいえないが、薄いピンクのYシャツにスーツのような紺のスカート、そして深緑色のエプロンを身にまとい、長い黒髪をポニーテールにしてまとめたその姿は、立派にウェイトレスだった。

「サンマと、白いご飯ですね。かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

 無表情で淡々と話す美葉を、シゲはポカーンとだらしない顔で見ている。
 そして、美葉がキッチンに消えるのを見届け、ようやく口を動かした。

「タカちゃん! びっくりしたよ。新しい子? 良いねえー。前にいた李ちゃんも美人さんだったけどさあ。今の子、良いねえ! あの冷たい表情がまた堪らんねえ」

「シゲさんって、Mだったんですね。イニシャルはSのくせに。今のが今日からの新人です。木村美葉っていいます」

「ミワちゃんかい! そうかあ、この店の看板娘だな」

 貴之は、なんとなく、シゲの赤黒い肌がキラキラ(ギラギラ)してきたような気がした。
 たぶん陽射しのせいなのだろうが……。
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