ミックス・コーヒー
「喫茶店、いつからやってるの?」
今度は美葉が貴之に問う。
貴之がコーヒーを一口すする。
「この店、前は父さんが一人でやってたんだ。母さんが亡くなる前は二人でやってたみたいだけど。もう、随分前の話だな。それで一年前に父さんも亡くなってから、おれが代わって経営してる」
「……そうなんだ。貴之、淋しい?」
「ううん、今はもう別に」
頷きながら「そうだ、尚樹がいるもんね」と、美葉。
貴之は「いやいやいや」と首を振った。
「あと、これからは私も貴之のそばにいてあげる。だから淋しがっちゃだめだよ」
端正な顔を近づけ、無邪気に貴之を見つめる美葉。
「それを、おまえが言うんだ?」
貴之が笑い飛ばす。
だが、この場に尚樹がいたら、完璧に照れ隠しだと見抜かれていただろう。
恥ずかしながら……もう心臓の音が小刻みに体中響いてどうしようもなかった。
今度は美葉が貴之に問う。
貴之がコーヒーを一口すする。
「この店、前は父さんが一人でやってたんだ。母さんが亡くなる前は二人でやってたみたいだけど。もう、随分前の話だな。それで一年前に父さんも亡くなってから、おれが代わって経営してる」
「……そうなんだ。貴之、淋しい?」
「ううん、今はもう別に」
頷きながら「そうだ、尚樹がいるもんね」と、美葉。
貴之は「いやいやいや」と首を振った。
「あと、これからは私も貴之のそばにいてあげる。だから淋しがっちゃだめだよ」
端正な顔を近づけ、無邪気に貴之を見つめる美葉。
「それを、おまえが言うんだ?」
貴之が笑い飛ばす。
だが、この場に尚樹がいたら、完璧に照れ隠しだと見抜かれていただろう。
恥ずかしながら……もう心臓の音が小刻みに体中響いてどうしようもなかった。