ミックス・コーヒー
   ②

 十数分後、いよいよチャイムが鳴った。

 貴之が玄関の扉を開けると、そこには、たしか180センチを超えているはずだった、長身の男が立っていた。

「貴之。準備しておいてくれた?」

 つまり、この男が先程の電話の相手だったのだ。

「ああ。だけど、おまえ一体どういう……ギャッ!」


 その時、貴之は、まるでこの世の物ではないような光景を目にした。


 長身の男が横に移動し、その後ろから現れたのは、頭から汚れた毛布、その他を被り、包まっている<人>。
 男の後ろにすっぽりと隠れてしまっていたほど小柄ではあるが、伸びきった髪の毛がジャマをしていて顔はさっぱりわからない。

 雨はかなり激しく地面を叩きつけており、荒々しい音が鳴り響く。
 大きな雨雲のせいで昼時にもかかわらず外は薄暗かったが、突然その人物の後ろに歪な光がはしった。
 それが雷であるということは、数秒後の轟き音が証明してくれた。
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