ミックス・コーヒー
「会わせちゃダメって……オレらにですか?」

 貴之は自分達の存在が知られてるのかと思い、驚いて聞いた。

 一方、女は淡々としている。
「違うわよ。<人>に会わせちゃダメなの」

「人……?」
 貴之が怪訝そうに聞く。

 それに対しての答えではなかったが、女の口から意外な言葉が出た。

「ねえ。中、入りたいんでしょ。いいわよ。ただし、あんただけね」
 女は貴之を見つめていた。

「……オレだけ?」
 貴之が驚いて聞き返す。

「嫌ならいいのよ。このまま帰っても」
「いや……お願いします」

 尚樹に見送られ、意を決した貴之が家の中へと消えていった。
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