ミックス・コーヒー
「よくわかってるじゃない。良い子ね」
 
 貴之は素直に携帯を出し、女に番号を伝えた。
 その場で、女も自分の携帯に貴之の番号を登録し、すぐに確認の着信を入れた。

「私は菅浦エリカ」

「……オレは、伊藤貴之です」

「タカユキね。オッケー。時間が出来たら電話するわ」

 そして、女がドアの鍵を開ける。

「あとは適当にしてってちょうだい。後始末はこっちで、なんとか上手くやっとくから。今のところ、とりあえずあんたには嫌われたくないからね」

 女の言葉を聞き終えたと同時に、貴之はドアを開け、勢いよくその奥へと入っていった。



 廊下を少し行くと、すぐにいくつかのドアがあった。

 一番手前のドアを開ける。
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