ミックス・コーヒー

「あの頃、マスコミが毎日何を報道してたか、全部はわからないけど、たぶん二人とも知っていて、そして間違いないと思うのは……」

　＜古亭路美鈴の自殺＞
　＜美鈴の、夫と娘の存在＞

　と、その二つの項目を美葉は、はっきりとした口調で並べた。



「……でも、最初に美葉から古亭路と名乗られた時は、娘だなんて考えなかったよ」

　尚樹の言葉を打ち消すように、美葉は自分の言葉を重ねる。

「最初はそうでも、過去の報道の記録とかから、古亭路美葉なんて名前はすぐにバレると思った。ただでさえ、珍しい苗字なんだから」

　貴之が「確かに、昔、古亭路美鈴って名前が本名だって知った時はかなり驚いたけどな」と、それに少しだけ頷く。

　しかし、すぐにまた顔を上げ、美葉に別の言葉を向ける。