ミックス・コーヒー
「なんで、自分のことがバレたらここに居られなくなると思った?」

「……二人が、優しい人だと思ったから」

 美葉が口にしたそれの意味が、貴之達にはわからなかった。

「どういうこと?」
 我慢できずに、貴之が聞く。

「もし、下心のあるちょっとでも汚い人に私の正体がバレたら、身代金なんかを私の家に用意させると思う。でも、貴之と尚樹は、そういう人じゃないってすぐにわかった。優しいから……だから、家に帰りなさいって、お父さんの所に帰りなさいって、絶対に言われると思った」

 貴之達は、まだ口を開くことができなかった。



「でも、二人は優しいんじゃなくて、優しすぎた。だから、私はまだこうして二人と一緒にいることができてるの」
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