君が見たいから ~ Extra ~
手がすっぽり隠れる長い袖に白赤青の色を玉虫様に配し、肩に金糸刺繍の入った花嫁用の伝統的な赤いチマチョゴリに衣装替えをする。
それに身を包んだとき、唯は自分が本当に韓国にお嫁に来たのだとつくづく実感した。
新郎も、タキシードから鳳凰の刺繍が施された赤い肩当てのついた青い韓国服に黒い烏帽子、という伝統衣装に着替えていた。
初めて見る彼の韓国服姿に思わず胸が激しく高鳴る。
唯の方も、金色の飾りのついたかんざしを挿してきっちりとシニヨンに結った頭に小さな冠を戴き、耳には冠と揃いの大きな耳飾り、さらに頬と額には独特の化粧が施されていた。
可笑しくはないだろうかと、少し心配になる。
だが彼は唯を見て照れたように微笑み、『意外に似合うな』と呟いた。
二人が、まるで古えの公子と公主(姫)のように並び立つと、親族一同から惜しみない拍手が贈られる……。
上座の金屏風の前には、ソンウォンの両親がこれもまた韓国服に着替えて並んで座っていた。
新婚の二人が、今まで与えられた父母の情恩への感謝を込めて正式な敬拝を捧げる。上座に置かれた低い横長の台座には干菓子、餅菓子、栗、干しなつめといった祝いの縁起物の数々が、それぞれの種類に分けて八角形の盆にきれいに山積みされていた。
それが済むと今度は一族に向かい、夫婦としてこれから二人で出発します、と挨拶する意味で礼をする。