君が見たいから ~ Extra ~

 誰かに送ってもらったの? 自分の車はどうしたのかしら。


 声をかけようとしたとき、車の運転席の窓が開いた。


 見間違うはずもない。キム・テーファが以前と少しも変わらない魅力的な微笑をたたえて、ソンウォンを見上げている。


 ……いったいどういうこと? どうしてテーファさんが……?


 訳がわからず、唯は一瞬その場に呆然と立ちすくんでしまった。

 ソンウォンはテーファと笑顔で何か話している。

 彼の顔に浮かんだ優しい表情を目にし、唯は更に衝撃を覚えた。我知らず足が震えてくる。

 やがて、再び発進した車を見送って、彼がこちらを振り向いた。立ちすくんでいる唯に気付いたようだ。


『……唯?』


 いぶかしげに名を呼ばれ、咄嗟に夫の顔も見ずにきびすを返してしまう。

『おい、待てよ!』

 少し慌てたように制する声も聞かず、唯はマンションとは反対方向へと駆け出してしまっていた……。

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