君が見たいから ~ Extra ~
やがてソンウォンが『馬鹿だな……』と呟きながら手を下ろすと、唯から一歩離れた。
『ああ、そうだな……。確かに今日の昼食は、レストランでテーファと一緒にとったよ。久し振りに随分話もしたし、午後はずっと一緒にいた』
『そ、それって……』
『何だい?』
軽く眉を上げた彼は完全にリラックスしていた。まるでこちらの反応を楽しんでいるようだ。
『今朝言わなかったかもしれないが、今日の出張は化学事業部の方の用件だったんだ。テーファは大韓化成の内部資料を届けてくれた後、一緒に会議に参席していった。今年に入ってから、彼女も向こうの経営に少しずつだが関わり始めてる。長女だからね。本気になれば、それなりのポストにつくことも可能かもしれないな。キム社長の思惑はまだわからないが、少なくとも彼女はその気になりつつあるよ。……言ってなかった?』
『そんなこと全然知らなかったわ! それじゃ今もしょっちゅう会ってるってことなの? テーファさんと?』
唯は唾を飲み込んで、まじまじと彼を見た。更なる動揺の波紋を隠そうとするが、あまりうまく行かなかったようだ。