君が見たいから ~ Extra ~
唯は、傍らでじっと自分を見ているソンウォンを振り返った。
「連れてきてくれて、ありがとう……。こうしていると、昔を思い出すわ。なんだか随分懐かしい気がする……」
つと、涙が一筋頬を伝い、零れ落ちていった。
『唯!』
ふいに、ソンウォンが短く強く彼女を呼んだ。
気が付くと、彼女は再び力強い腕の中に引き寄せられてしまっていた。
彼の片手が唯をしっかりと抱かえ、もう片方の手が少し震えながらまるで彼女の存在を確認するように、ベージュのコートの輪郭を撫で下ろして行く。
「どうしたの?」
驚いて顔を向けると、彼のどこか切羽詰った目に合いはっとした。
あっと思うまもなくまた唇が降りてきた。今度は一度ではなく、何度も何度も、繰り返し口付ける……。
次第に頭ががくらくらして、思わず彼にもたれかかった。
抱き締める彼の腕にも、一層きつく力が込もる。
『まるで、どこかに行ってしまいそうだ。最近の君を見ていると……』