君が見たいから ~ Extra ~
そのとき、ようやくわかったような気がした。
ああ、この人も普通の男の人なんだ……。
そう……。おそらく、他の人の前では決して見せはしないだろうけど……。
日頃の自信に満ちた態度の裏で、彼もやはり迷いもするし不安にもなる。時には傷つきもするのだ。
そんな至極当たり前の事実に、今更ながら気付かされ、そのことに強い安堵感さえ感じていた。
そして同時に、改めて思い出す。
この人がここにいるから、わたしもまたここにいるのだ……と。
心に、夫への愛が一層強くこみ上げてくる。彼に回した手にきゅっと力を込めると、彼が顔を上げた。
指先で彼女の顔の輪郭を辿りながら、まだ少し心配そうに尋ねる。
『さっき、どうして泣いたりした?』
『……ただ、嬉しかったからよ。あなたの気持がかなり効いたみたい……。それからね、ソンウォンさん。あなたわたしのことでは、一番大事な点を勘違いしてるわ。ほんとに知らなかったの?』
こう言いながら、唯は明るく微笑みかけた。