君が見たいから ~ Extra ~


 そう、いつだって言ったことを実行するのよ、この人は……。


 それから2時間後の深夜。

 自宅の大きなベッドにソンウォンと寄り添って横たわり、唯はつくづく思っていた。

 たった今、二人はその夜二度目の絶頂に達したばかりだった。

 互いの情熱を思う様ぶつけ合い、激しく愛しあった余韻に、まだ身体が小刻みに震えている。


 一糸まとわぬ裸身を惜しげもなく夫の目にさらしたまま、唯は彼の肩にぐったりと頭を預けていた。

 文字通り、全身の力を使い果たしてしまった。これほど強烈なクライマックスは久し振りだ。今は何があっても動けそうにない。

 白い素肌のいたるところ、舞い散ったばかりの桜の花びらのような徴が刻み込まれている。

 今も大きな手が我が物顔に豊かな乳房を覆っていた。



ふと、唯が困ったように霞みがかった瞳を上げた。

『セナが泣いてるわ……』

『……どうやら、そうみたいだな』

 物憂げに呟き、彼はようやく唯を離すと起き上がった。

 いいからここに居ろよ、と笑いながら、ジーンズに足を通している。


 突然、抗議するように強い声で泣きはじめた娘の様子を見に、部屋から出て行く夫のたくましい背中を見送りながら、唯は心からの幸せを噛み締めていた。



         ~~ FIN ~~


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