君が見たいから ~ Extra ~


 日本電機サービス社との合同企画商品の売り上げは好調だった。

 それには、最後まで抵抗していた彼女を引っ張り出しての新商品のキャッチコピーも一役買っているのは間違いない。


 念願かなって、と言うべきか。検査の結果すぐに妊娠の事実が判明した後は、もう彼女が何を言おうが一切耳を貸さなかった。

 言葉どおり共に日本を訪れ、区役所でさっさと婚姻申告を済ませる。

 あとは彼女の新しい戸籍謄本を韓国に持ち帰り、こちらでの手続きも済ませてしまった。


 これこそ、果たした大仕事の最大の成果であり、心から満足のいく最高の仕上げだ。

 日本電機サービス社で再会した吉岡氏からは、やはりそうでしたか、とニヤニヤされる。彼女はひどくバツが悪そうな顔をしたが、そんなことは別に気にもならなかった。

 人のよさそうな彼女の御両親をひどく驚かせてしまったことが、一番申し訳なかったと思う。そして自分も日本語ができてよかった、とこれほど思ったこともない。


 僕らが彼女の実家を訪れ、畳の部屋に正座してから約三十分。

 そろそろ足の痺れも切れてきた頃、ようやく最初の驚きが過ぎ去り、お二人とも文字通り降って沸いたこの異邦人を快く受け入れてくださった。

 心配していたらしい唯が、心からほっとしたように笑みを浮かべたのを見て、肩の荷が下りた気がした。
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