君が見たいから ~ Extra ~


 そう、彼が会社と自分達のためにこんなにも頑張っているのに、自分に文句などあるはずがない。

 頭ではよくよく理解していても、感情はどうやら全く別物らしい。

 広くてゴージャスなこのマンションの12階にいつも娘と二人でいると、時折、世間からぽつんと取り残されてしまったような隔絶感を覚えるのは、どうしようもなかった。


 夫がそんな自分の思いに気付いているのかどうか、わからなかった。

 それでも忙しい日々の合間のたまの休日には、家族水入らずの外食やドライブにも積極的に連れ出してくれる。


 家でゆっくりしたいんじゃない? と気遣う唯を、相変わらずまじめ過ぎるな、とからかい、小さなセナをあやす瞳は切なくなるほど優しくて、もう何も言えなくなってしまうのだ。


 本当に、贅沢な話よね……。

 たまにメールや電話で連絡を取る日本の友人達からは異口同音、玉の輿だとうらやましがられているし、自分でもそう思っているのに……。


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