君が見たいから ~ Extra ~


 帰宅時間が遅くなることがさらに増え、結果一人で一日の大半を過ごす唯のことが気がかりで、時々会社から電話していた。

 だが、それも要らぬ心配だったようだ。


 いつの間にどこで聞きつけたのか、彼女の方から主婦向けのカルチャースクールに通い始めているらしかった。

 韓国料理を習っているの、と嬉しそうに習ったばかりの料理を作ってくれる。


 その上、週2回の日本語教室の講師まで引き受けてきてしまったのには、まったく驚かされた。


『だめ? 三か月間だけだし、毎回午後のたった一時間なの。急にボランティアの講師が辞めちゃって、スタッフが足りないんですって』


 唯が懇願するように僕の顔を見あげている。

 身体は大丈夫だろうか。少しためらった。

 だが、是非やりたいと言う彼女の熱心な目を見て、だめだとも言えなくなる。


 結局、決して無理はしないことを条件に許可した。彼女が自分なりに毎日をポジティブに楽しんでいることが、何より嬉しいと思ったからだ。


 そして、チョルヨンは言うに及ばず、チョン・チンジュさんともしょっちゅう連絡をとっているらしい。

 安定期の間はアフターファイブに、時々彼らと外出していたようだ。


 季節は再び巡り来て、またあわただしく過ぎ去っていく……。


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