君が見たいから ~ Extra ~
『生まれましたよ。3200グラムの可愛いお嬢様です。母子共にお元気で問題は何もありません』
待ちに待った知らせをやっと看護師が持ってきた。
この部屋の寝台に横たわっていた唯が悲鳴をあげて身を捩じらせてから、2時間以上経ってからのことだった。
僕はその間中、待機室でいらいらしながら、椅子から立ったり座ったりして待っていた。
どうにも落ち着かない。母から、大の男が何だ、とあきれ返ったようにたしなめられるが、落ち着けと言われても、到底無理な話だった。
文字通りできる限りの速さで病院にすっ飛んできた僕を見て、唯も嬉しそうだった。
いよいよ分娩室に入るというときまでずっと傍に付き添っていたが、その間、額の汗をぬぐってやり、手を握り締めてやりながら、彼女の苦しそうな表情を見ているしかできない、というのは実に想像を絶した。
思わずもう子供は一人でも構わない、と思ったほどだ……。
ああ、やっと生まれてきたんだな、僕らの娘が……。