君が見たいから ~ Extra ~
『聞こえたから、わたしにいちいち説明する必要はないわ。また出かけるんでしょう? 今度はドコまでご出張? 日本? 中国? それともドイツあたりかしら? "ほんの一週間"? ええ、そうよね。いっそ一、二か月くらいあなたがいなければ、わたしも自分の好きにできて、ちょうどいいかもしれないわ。そうなさったら?』
『唯……?』
突然、怒りに燃えたようにまくし立て始めた妻を前に、ソンウォンが呆然と言葉を失ったように目を見張った。
途端にはっとする。今の今、口に出すまでこれほど不満が募っていたとは、自分でも気付かなかったからだ。
そして無意識に鬱積した感情の力は、時に恐ろしいほどの無謀さを発揮する。
彼を理解していたはずの理性の歯止めなど、その瞬間、大空の彼方まで吹き飛ばされて、まるでぐらぐらと煮え立ったスープ鍋のごとく、火を消す暇もなくどっと噴き零れてしまった。
『もう知らない! あなたはどこへでも行って、したいようにすればいいわ! わたしはわたしで勝手にやるから。家で、わたしやセナと遊んでる暇なんか、本当はこれっぽっちもないんでしょ? どうぞ、お構いなく。さっさと出かけてちょうだい!』