君が見たいから ~ Extra ~
彼が怒ったように息を吸い込むのが聞こえた。
唯自身も、たった今吐き出してしまった言葉の激しさに驚いて、後ずさりする。
いけない……。いくらなんでも今のは言い過ぎだ。引っ込みが付かなくなって、ただ逃げるようにリビングから駆け出した。
『唯! 待て、おい!』
背後から焦ったように強く呼びとめる声が聞こえたが、無視してそのまま寝室に飛び込むと、中から鍵をかけてしまう。
彼も別に追いかけてはこないようだ。
とうとう、やってしまった……。
はぁ、と息をつくなり、唯はへなへなとベッドに座り込んだ。
やり場のない苛立ちをベッドの枕にぶつけるように何度も叩いてから、急にそれを抱きかかえ、顔をうずめる。わっと泣き出したいような気分だった。
ああ、まったく……。こんなかんしゃくを起こすなんて信じられない。
今頃は彼と二人きりで、リビングでゆっくりと話をしながら、二週間ぶりのコーヒーブレイクを楽しんでいるはずだったのに。
少なくとも今みたいに、寝室で一人ぼんやりしている予定ではなかった。
……どうしてこうなってしまうんだろう。