君が見たいから ~ Extra ~
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沸騰していた頭が冷え始めると、我ながら馬鹿みたいだ、と思えてくる。
せっかくの貴重な時間を、自分で台無しにしてしまったも同然なのだから。
わびしい気持でベッドから立ち上がると、唯は傍らのドレッサーに向かった。
一番下の引き出しにしまっておいた、自分の履歴書と語学院の採用通知を取り出して眺めてみる。
先日、新聞の求人広告を見て衝動的に応募したものだ。
面談に呼ばれて内定、その後正式に採用を貰えたのは嬉しかったが、夫が何と言うかわからず、伝えるのをためらっていた。
今日こそ話そうと機会を待っていたのに、いざ話し始めた途端、あの電話のせいで……。
だから、余計に爆発してしまった。
それにしても……。
さっきの態度を彼はどう思っただろう。怒ってしまったかもしれない。
それとも、ただのかんしゃくと決め付けて、気にもかけずに今ごろ出かける準備でもしているのだろうか。
それもありそうな気がした。やっぱり世間で言われている通り、結婚して三年も経つと、どんな夫婦でもこういう時期を迎えてしまうのだろうか……。