君が見たいから ~ Extra ~

 やがて、彼が再び動き始める。その動きに合わせて、唯の身体の奥も熱く融けるように疼き出す。

 今はこの痛みにも似た熱を鎮めて欲しかった。でもいつもそうだ。夫の手にかかると、普段は存在すら忘れている肉体の原始的な渇望に、たちまち支配されてしまう。

 どうすれば自分からそれを引きだせるのか、彼が自分以上に知り尽くしているのも、何だか癪に触った。


 あくまで抵抗すると決めたように唇を噛んで喉をそらし、再び目を閉じた唯に、からかうような声が下りてきた。

『ったく、今日はやけに反抗的だな。もう、そろそろ限界だろ? ここまで来てまだ抵抗するつもり? 何なら今すぐやめようか?』


 聞くなり唯はぱっと目を見開いた。いやいやと言うように、夫の湿った首筋に腕を回し強く引き寄せながら腰を浮かせる。今度は自分から彼を求めて彼女自身を強く押し付けていった。

 ソンウォンが勝ち誇った顔で荒々しく分け入ってきた。どんなに悔しくてもそれが限界だった。ほとんど同時に互いの中で爆発が始まる。


 溺れる者が命綱を掴むように、唯は夫の首に抱きつき、彼の腰に一層きつく脚を巻きつけしがみついた。


 極限で解放された後も、二人はまるで海で遭難した直後のように大きく息をあえがせながら、目を閉じて、ただじっと乱れたシーツの中で絡み合っていた……。

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