meet again~再会~
「そっか…」


原西と2人っきり。そう思うとドキドキしてしまって、会話をするどころか、原西の顔さえまともに見ることができない。

「この中庭とも今日でお別れね。そして…」

原西は一瞬間をおいて言葉を続けた。


「そして、高井くんとも…」


原西を見ると、今にも泣き出しそうな表情で俯いていた。


俺は慌てて、


「べ、別に今生の別れって訳やないねんから、そない悲しむことでもないやん!」

と言った。


「高井くん、東京の高校に進学するんでしょ…?」

「えっ…?」


原西に言われ、俺はドキッとして言葉を詰まらせた。


東京の高校へ進学することを、原西だけには言ってなかったはずやのに…。


「どうして?どうして言ってくれなかったの?」

「原西…」


「ひどいよ…ひどいよ、高井くん…」
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