ヴァンタン
私はふと、屋根裏部屋が気になった。
私同様、アンやハイジに憧れたと言う母。
その思いを流産させられた娘に託した。


私はエイミー姉さんをもう一度肌で感じたかった。




戦いの最中。
私の見た伝説の聖女。
あれは確かにエイミー姉さんだった。


キャプテンバッドを操ったのは、エイミー姉さんを流産させた悪魔なのだろう。

伝説の聖女はキャプテンバッドの祖国の人の陰謀に負けて、異端人として処刑されたのだから。

自国が魔力で負けたと印象付ける。
たったそれだけの事で……


火炙りの刑は、復活してほしくないと願うエゴから来たものだった。


その少女が、遂に復活しようとしていた。
それを止める為に、母を流産に追い込んだのだった。




もう其処にガラスの小箱はなかった。
私は取り返しのつかない事をしたと思った。


――エイミー姉さん私を許して!

私はエイミー姉さんの為のベッドの上で泣き崩れた。




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