ヴァンタン
やっと目を開けたチビは眠たそうに目をこすった。


「おねえさん誰?」
判る筈がない。
私も今の今まで考えも及ばなかったのだから。


――私は確かに十年前、鏡の世界へお・ね・え・さんと入った。


――そしてそれは……パパを探す為だった……

何故今まで忘れていたのかを知りたい。
その答を得る為に、もう一度あの鏡の中に入らなければいけない。

私はその事を知りながらきっと此処に来たのに違いなかった。



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