ヴァンタン
それは摩訶不思議な鏡だった。
人物を写し出したらそのまま、まるで絵のように動かない。
一旦その状態になると、其処から動いてもずっとその人を映し出している。
まるでその人に執着するかのように。
私は、私を写したままの鏡が怖くなった。
だから母にすがり付いて泣いていた。
「これが鏡? あなた騙されたのと違うの」
母も呆れていた。
「可哀想に。でももう泣いちゃ駄目よ」
母は泣き虫の私を抱き締めてくれていた。
「いや、船の上ではちゃんと動いていたよ」
パパも反撃する。
魔法の鏡はこのようにして我が家にやって来たのだった。
人物を写し出したらそのまま、まるで絵のように動かない。
一旦その状態になると、其処から動いてもずっとその人を映し出している。
まるでその人に執着するかのように。
私は、私を写したままの鏡が怖くなった。
だから母にすがり付いて泣いていた。
「これが鏡? あなた騙されたのと違うの」
母も呆れていた。
「可哀想に。でももう泣いちゃ駄目よ」
母は泣き虫の私を抱き締めてくれていた。
「いや、船の上ではちゃんと動いていたよ」
パパも反撃する。
魔法の鏡はこのようにして我が家にやって来たのだった。